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中国・深セン ものづくりの今デザイン力をつけた中国メーカーとどう戦う?

こんにちは。東 智美(ひがし ともみ)です。cheero立ち上げメンバーのひとりで、今は外部スタッフとしてお手伝いをしています。 cheeroが立ち上がってから、家電展示会や工場との打ち合わせに、年に数回、香港や深センに行きます。 

 

かれこれ、7〜8年通っているのですが、ここ数年で特に「変わったな〜」と思うのが、中国メーカーのデザイン力です。 モバイルバッテリーという存在がまだもの珍しかった数年前は、香港で毎年春秋に開催される大きな家電ショーも、深センの家電・ガジェット・周辺アクセサリーのマーケットも、目がビカビカするような原色のちょいダサ商品で溢れていました。 「デザインさえ変わるとかっこよくなるになー」と、惜しい商品が多かったわけですが、その分、自国でデザイン行いたいファブレス(工場を持たない)メーカーが、世界中から、工場が集まる深センや東莞(トンガン)へやってきて、中国でさまざまな製品が開発されるようになりました。私たちもその一社です。 そうすると、優れたデザインやものづくりのノウハウが中国に集まります。その結果、中国のものづくりは日進月歩で洗練され、ほんの10年程度で、そのレベルは劇的に向上しました。いまや「世界の工場」だった中国は、「世界で戦える優れたメーカー」として、どんどん世界を席巻しています。 

 

例えばガジェット周りでは、民生用ドローン市場の7割を握る「DJI」、ライカ監修のレンズを搭載したPシリーズが好調な「Huawei(ファーウェイ)」、最近日本でも販売が始まった「OPPO(オッポ)」、新興TVメーカー「T.C.L」など、プロモーションムービーやクリエイティブを見ただけではアメリカ西海岸発? と見紛うようなメーカーが世界のシェアをとりつつあります。 (めちゃくちゃクールなDJIのティザームービー入れる) その中でも、この10月に行った中国出張で驚いたのが、「小米(シャオミ)」。日本ではほとんど流通していませんが、5年ほど前にiPhoneを模したような格安スマートフォンで台頭してきたメーカーです。 ほんの2〜3年前まで、モバイルバッテリーやスマートフォンのメーカーというイメージが強かった小米(シャオミ)ですが、今年行った深センの南山にあるフラッグシップショップは、家電を中心としたおしゃれな総合ライフスタイルメーカーにさま変わりしていました。

 

 

大型テレビ、いま中国で流行りの小型モビリティ(小型電動スクーター)、ロボット掃除機や空気清浄機のような白モノ家電、スマートスピーカーやアプリから操作できる照明などのスマート家電やスマートロック。通電系以外では、ポーチやバックパック、カップや歯ブラシ、洗剤のような日用品まで「MUJI」のように広くカバーしています。 そして驚くのはその安さ。例えば、65インチの4Kテレビが約6万円。しっかりつくられたお洒落なバックパックは3,500円程度。MUJIの1/2くらいの価格帯で販売されています。 また、中国国内で製造し、中国市場に流しているので、とにかく開発が早く、旬なテクノロジーを活用した製品がすごいスピードで店頭に並びます。 

 

小米(シャオミ)はもともと、Apple Storeを手がけたサンフランシスコのデザイン会社「Eight Inc.」を起用し西海岸のテイストを取り入れてることで知られていますが、こうやって海外のデザイン会社やデザイナー使ってイメージの一新を図り、グローバル市場に出て行く中国メーカーはどんどん増えています。 日本の細やかなものづくり神話が世界でのアドバンテージを弱めつつある今、優れたデザイン力を手にいれ、高品質・低価格で攻めてくる中国メーカーとどうやって戦っていくべきか… なかなか厳しい時代になってきたなぁ、と身が引きしまる思いです。